2012年10月21日日曜日

♪NO.8♪ 社長からエグゼクティブコーチになったわけ 最終回

第六の選択: 選択の連鎖
 THE FIRST 90 DAYS』(ハーバード・ビジネススクール助教授 マイケル・ワトキンス氏著)に「本著は昇進した管理職のために、最初の90日を乗り切るロードマップを示す。この時期に信頼を勝ちとり何らかの成果を上げておくことは、長期的な成功につながる第一歩である」(同著より抜粋)という極めて深いメッセージが記されている。昇進後であれ、プロジェクトであれ、入学後であれ、最初の90日間にどう結果を出すかで、その後のシナリオが変わってくる。
 
以下、2012年1月に独立をして、私がまず実践した4つの項目である。
 
第一の実践: 人脈を整理し、活用する
第二の実践: 自ら動く
第三の実践: ファイナンシャル・プランを立てる
第四の実践: パートナーを選択する
 
具体的な実践内容については、11月25日に発売予定の『独立成功のカギ』(共著、ミラクルマインド社)の「第3のカギ」に執筆しているので、そちらをご覧いただきたい。日米の4人の有名メンター・起業家の方々と幸運にも共著者8名の一人として、独立後の90日間の奮闘ぶりを書かせていただいた。
 
 
 
 
 
=人生は選択の連鎖がもたらす結果=
 
これまでの私の人生は、誰しもが必ずしも好まない少数派の選択をしてきた結果だと思っている。言い換えれば、選択肢の中から「挑戦する」を選んできたと言えるし、根底には揺るぎない信念があった。一方を選択することは他方を捨てることであり、信念は「後悔しない」自分を作り上げる「決め手」でもある。
 
憧れのアメリカか混沌としたブラジルか、日本企業でエリート街道か外資系で一からの挑戦か、羨望のIT業界か地味な医療研究関連か、リスクの少ない経理部門か首になるかもしれない事業部長か、社長を続けるか独立か。勿論、信念を持って「選択しないという」こともあったかもしれないが、それは前進しないことであり、最もしたくなかったことである。また、今回のブログシリーズ述べた大きな選択ばかりでなく、小さな選択の連鎖が大きな選択肢のチャンスをもたらしてくれたとも思っている。

 私は、未だ独立して一年未満の駆け出しである。多くの方々のご支援もあり順調な滑り出しではあるが、起業家として、独立して成功しているか否かの解を得るのは、到底早計である。自分のブランドで価値を提供してクライアントからお金を頂戴するという経済行為は、「言うは易し、行うは難し」である。これからも多くの選択肢に直面し、その時々に、右か左かの選択をしていくことになる。

それは、より良き人生へ向かい、己のミッションを実現するための必然たるステップであり、修行でもある。「明日死ぬかのように生き、永遠に生きるかのように学ぶ」というトマス・モアの格言の如く、強い信念を持って目の前のことに全力を尽くし、常に謙虚に学び続けることで良い選択肢のチャンスが現れて、ベストな選択ができるのだと思っている。その連鎖こそが、素晴らしい人生への唯一の途だと考える。

今回でシリーズ「社長からエグゼクテイブコーチになったわけ」終了となる。毎回、読んでいただいた読者の皆様にお礼を申し上げたい気持ちで一杯だ。

感謝!!(了)

2012年10月6日土曜日

♪NO.7♪ 社長からエグゼクティブコーチになったわけ Vol.4


第五の選択:独立、エグゼクティブコーチへ

2011年の7月にビジネスコーチ社主催の「コーチの神様マーシャル・ゴールドスミス氏直伝コーチングスクール」が東京で開催されるとの情報を聞き、私は30万円の2日間コースに即決で申し込んだ。これも何かの縁だったのであろうか、本来、私に直接来た話ではなく、たまたま私の知り合いの方にきたセミナー案内であったが、その方が参加できないとのことで、私にその案内が回ってきたのであった。まさに「神のお導き」だったのかもしれない。前に書いた様に、2007年にマーシャル氏の「できる人の法則」に出会って以来、なんと4年ぶりでしかもご本人から直々にコーチングの手ほどきを受けることが出来るチャンスが、その後、私の独立を大きく後押ししてくれることになる。


マーシャル氏のスクールを修了し、同社のビジネスコーチスクール6回コースに即座に申し込んだ。6講までの内、既に第2講が終了していたため、第6講からの入校という変則であったが、同社の細川馨社長の計らいで途中参加させていただくことになった。細川社長自ら講師をされていたご縁で親しくなり、その後の2011年末までの数か月間は、まさに独立に向けてのエグゼクティブコーチ修行といえる日々が続き、2012年1月に晴れて独立の一歩を踏み出したのである。このご縁で、現在、同社とパートナーシップを結び、ビジネスコーチングの普及に協業している毎日である。まったく不思議な縁である。


「エグゼクティブコーチとは何か?」の話に戻すと、一言でいえば、企業の幹部である社長、役員、部長クラスの専属のプロの家庭教師という感じだ。「企業のエリートに家庭教師が必要なの?」と不思議に思われる人もいると思うが、“イエス”である。事実、幹部には、日々、直面して処理していかねばならない課題が次から次へと湧き出てきて、しかも、それらを同時並行的且つスピーディーに解決していくことが求められる。反面、少しでも対応を間違ったり、売上利益の未達成で責任を取らされたり、部下との関係では、言い方を間違えるとパワハラに発展したりして、毎日、相当なプレッシャーの中で格闘しているのである。

 
その一方で、これらの企業幹部は、組織の中で徐々に「裸の王様」へと変貌していく。私が事業部長から社長時代の初期にそうであった様に・・・。部下には見えていて幹部には見えない領域(思考の枠)があり、それが組織の関係の質を悪化させている。思い上がり、思い込み、自分が正しいという固定観念、部下は自分の思い通りに動くという我儘、更に、それまで成しえた成功体験。それが原因となって、組織の変化へのチャレンジも減退し、イノベーション力も衰退して、その結果、企業の競争力は低下していく。それは、まさに現在の日本企業が、韓国や中国のパワーにおされている背景には、このような関係の悪化を改善できない根本的な要因があるような気がしてならない。
Wikipediaより
 

この様に毎日苦悩の連続の中で頑張っている企業幹部に後方支援をし、彼ら彼女らが更に成功を続けていくためのお手伝い役が、エグゼクティブコーチである。一対一の対面で毎回60~90分程度、12回で約6か月間の長い二人三脚での旅が始まる。回数を重ねることで、行動変革の習慣化・定着化を高め、成果に導く。

 
コーチングをスタートする前に、幹部の部下同僚・上司から360度ヒアリングという調査をコーチが対面インタビューで行う。「思考の枠」に気付かせ、幹部が自らの意思で変わる努力を継続することで、部下がそれに感動を受け、部下が変わりはじめ、組織が変わるメカニズムである。オセロゲームと同じで、鍵となるポジションを黒から白に変えることで瞬く間に多くのコインが白に変わっていく様と同じである。ただ、なかなか幹部自身が自らを黒から白へ裏返すことは困難であるので、ここにコーチのサポートの必要性がある。
 
Wikipediaより
 
一人の企業幹部が行動変革することでその組織が変わる、つまり、私がコーチとして千人のクライアントの行動変革のサポートをし、その行動が変わることで、一万人、いや十万人、もしかしたら百万人の組織が変わり、成果を上げることが出来るかもしれない。自分一人で百万人を相手に研修講師はできないけれども、千人であれば、10~15年で達成できそうだ。私のコーチとしてのミッションは、「日本人ビジネスパーソンを元気にして、日本再生に貢献する」である。百万人が元気になれば、貢献できたと言えるだろう。それを実現するためにも独立してスタート時点でつまずくことは許されない。何としても成功しなければ、という強い想いで、独立後の最初の90日間に「4つの実践」を試みた。(つづく)