2012年11月25日日曜日

♪NO.10♪ ブータンで見た「サーバント・リーダーシップ」 Vol.1

幸福の国(Gross National Happiness)の原点はここにあった!

 ブータン見聞について、3回シリーズでブログをお届けします。今回は初回です。

 11月12日から同友クラブ(経済同友会会員および会員経験者による研鑽・交流の場)主催によるブータン・ネパール視察旅行に参加してきました。参加者は総勢32名。ブータンは、昨年11月に第5代ワンチュク国王夫妻の来日、東北被災地訪問、国会演説などで、一躍「幸福の国」として有名になりました。ほとんどの日本人が国王夫妻の来日を機に、「知らない国」から「誰もが知ってる国」に180度変わったのではないでしょうか?事実、私にとっても、「興味のない国」から「一番行ってみたい国」に変わりました。


ブータン国旗Wikipediaより
 

  偶然か必然かわかりませんが、今年の1月に独立して、エグゼクテイブ・コーチとしてスタートしたこともあり、8月に同友クラブへの再入会(2007年に経済同友会に入会した際に同友クラブにも入会したのですが、1年で脱会していました)を決め、一般教養を勉強する機会に触れようとしていた矢先に、視察旅行先がブータン・ネパールと聞き、即決で申し込みをしました。

 
 
 ブータンへは成田からタイのバンコク経由のルートが最速、しかもフライトの関係でバンコクに一泊する必要があります。バンコクからはドゥルック航空(ブータン国営)でバングラデッシュのダッカ経由で4時間かかりました。ブータンへは外国機の乗り入れは禁止。ドゥルック航空のみが就航しています。140人乗り4機、40人乗り4機保有で、外国の航空会社との提携はありません(したがって、マイルの提携もなし)。バンコクーパロ(ブータン唯一の国際空港)間のAir ticket代は、成田ーバンコクよりも高いと聞き、驚きでした!また、ブータン国内の旅行は、外国人観光客には一日180ドルの課金がされますから、ホテル代に加えて、結構な負担となります。年間観光客が4万人(内、日本人はアメリカ人に次いで多く4千人~5千人)で、観光施設、ホテルのキャパの関係もあり、人数制限をしている政策をとっているとのことです。

(久野撮影@パロ空港)
 
 蛇足ですが、ドゥルック航空は、Royal Airlineということもあってか、CAの品の良さは男女問わずきっと世界一のAirlineなのだと実感。機内に乗り込んだ瞬間から、「幸福」を感じさせるブータンの観光戦略・おもてなしには脱帽でした笑。

(久野撮影@機内)
(久野撮影@機内)
  
パロ国際空港に到着してまず我々を出迎えてくれたのが国王夫妻(の大きな写真看板)でした。国王夫妻自ら先頭に立って国の観光事業のおもてなし役を買っている姿勢に感動しました。最高のおもてなしセンスですね。タラップから降りてブータンの地に足を踏み入れた瞬間に目に飛び込んできた「幸福なシーン」です。
(久野撮影@パロ空港)

 今回の視察では、ジグミィ・Y・ティンレ首相(写真上)とHome & Cultural Affairs省ミンジュル・ドルジィ大臣(写真下)と別個に会談する機会に恵まれました。これも同友会パワーだと、あらためて感激した次第ですが、これらの会談は各1時間行われ、ブータンの国家政策と国民総幸福Gross National Happinessについて直接お聞きすることができました。

首相会談(久野撮影@首相官邸)
大臣会談(久野撮影@王宮)
 
  以下、首相と大臣からお聞きしたブータンのビジョン4つの柱とGNHの9つの尺度です。国家がしっかりとしたビジョンを持ち、それを国民と共有し、その現状をGNHという尺度でモニターして、国家の成長と国民の幸せをバランスさせるという文化と統治の絶妙な政策はアッパレです。

国家の4つの柱:
1.経済的自立(2020年までに完了)
2.環境保護
3.文化の推進
4.良き統治

GNHの9つの尺度:
1.精神面の幸福
2.健康面での幸福
3.教育の充実
4.文化の多様性
5.地域の活力
6.環境の多様性と活力
7.Work & Life バランス
8.生活水準・所得
9.良き統治

 さて、ブータン見聞ブログの第1回目の締めくくりとして、首相・大臣から伺った第5代ワンチュク国王とそのお父様である第4代国王のサーバントリーダーのエピソードを紹介しましょう。

 上記の国家ビジョンやGNHの導入は第4代国王がされたそうです。17才という世界最年少の君主として就任した国王は、GNHを国是として、GNPではなく国民の幸せを最優先に国造りを進めました。教育・医療制度などを充実させ、伝統、文化や自然環境を尊重しながらも、インフラ整備を推進しました。驚いたことに、国王自ら、国会に対して国王の罷免権を付与したほか、絶対王政から立憲君主制へ移行をさせたことです。君主自らが移行させた例は世界の中でも稀なケースです。

 2006年に自ら退位して現在の第5代ワンチュク国王に譲位し、2008年に議会制民主主義による政府を選ぶための総選挙を実施。同年、すでに王位を継承していた第5代国王の戴冠式が王宮にて行われました。譲位後の第4代国王の生活は質素で、自宅は丸太小屋、カーペットは穴が開いていて、自家用車は十数年ものという話でした。また、現国王も、通勤は王宮近くの住居から徒歩通勤。住居は王妃と二人暮らしなので2LDKとのこと。自ら、襟を正す生活をされているそうです。

王宮中庭(久野撮影)

第4代国王
 
第5代国王 Wikipediaより
 
  最後に、現地で入手した第5代ワンチュク国王の戴冠式でのスピーチの一部を紹介します。

Throughout my reign I will never rule you as a King. I will protect you as a parent, care for you as a brother and serve you as a son. I shall give you everything and keep nothing; I shall live such a life as a good human being that you may find it worthy to serve as an example for your children; I have no personal goals other than to fulfill your hopes and aspirations. I shall always serve you, day and night, in the spirit of kindness, justice and equality. As the king of a Buddhist nation, my duty is not only to ensure your happiness today but to create the fertile ground from which you may gain the fruits of spiritual pursuit and attain good Karma.
 
(日本語 久野訳)
私は私が主権を握ってから最初から最後までとして皆さんを支配することはありません。私はあなたたちを実の親のように守り、あなたたちを兄弟のように手助けし、さらに息子のように尽くします。私はあなたたちにすべてを与え何一つ制約しません私はあなたたちの子供たちの手本となるような立派な人間であるように生きます。私はあなたたちの願いや望みを叶えること以外は何一つ目指していません。私は親切心、正義感、そして公平さのもとに日夜を問わずあなたたちに尽くします仏教国の王としてあなたたちの今現在の幸せを確かにするだけでなく、あなたたちが精神面での果実や良きカルマを達成できるように豊かな国土を築くことが私の使命です。


 子供たちの「手本」となるというくだりはジーンときますね。国王である前に人として手本となることを目指すという姿勢は、まさに、奉仕型リーダーシップであるサーバントリーダーです。国王自らが国民の幸福のためのサーバントを目指すというコミットメントを示して国家を統治していく姿は、我々ビジネスリーダーにとっても必須のリーダーシップスタイルだと改めて痛感した次第です。GNHを目指すブータンで、その原点を見聞できたことは、とても有意義な旅でしたし、その考え方は、私のビジネスコーチングのスタイルと共通するところでしたので、一層、感銘を受けました。

 次回Vol.2では、ブータンの国民の豊かで品格のある国民性・生活ぶりについて書いてみます。お楽しみに!(つづく)

2012年11月1日木曜日

♪NO.9♪ 久野塾 第5回目

  先週10月27日に第5回@英治出版ラボ(恵比寿)を開催しました。2月にスタートして手探りで運営してきましたが、塾生の白熱する議論と全員がプロのビジネスコーチの資格を有する現役の社長、役員の厳しくもあたたかいアドバイスが、世代のギャップを超えて、まさに「無から有」を創り出しています。


  
  今回のテーマは、「ソリューションビジネスの神髄とは?」でした。結論からいうと、「ソリューション」には一つの定義にとどまらず様々な意味があり、各自がそれを上手くビジネスや日常生活に活用することが付加価値として評価され、相手のWinと自分のWinを両立させる・・・・ということが全員で気づき且つシェアすることができました。また、元外資系役員の吉田彰さんから、ご自身の豊富な営業経験から、失敗事例や修羅場を通してのソリューションの神髄を語っていただき、塾生にとって貴重な機会となりました。
  
  

 最後に、塾長の私から、「ソリューションビジネスのパラダイムシフト」として、「貢献の競争が付加価値のパラダイムを生む」という話をしました。「Fee on free」の考え方でLinuxやアップルのiアプリのモデルになっているものです。まさに大きなビジネスを創造できるシンプルで画期的モデルですが、詳細は塾生のみに伝授しました!(笑)
 

 塾の白熱ぶりは、今回参加していただいたオブザーバーの方々(久野塾では必ずオブザーバー参加していただいてから来年の参加を決めていただく方針です)からの感想をご覧ください。
 
T.S. 38 男性)

今回、久野塾にオブザーバーとして参加させていただき、たくさんの気づきをもらうことができました。今回のテーマである「ソリューションビジネス」についての議論は私が思い描いていたそれの定義をがらりと変えてしまいました。私は業務でソフトウェアの保守サポートチームのリーダーをしていますが、実情は不具合を修正することで手一杯の状況です。しかし、そんな状況においてもソリューションを提供し、お客様とWin-Winな関係を築いていける可能性に気付かされました。早速、この気付きを自分のチームに取り入れ、それを目指せるチームビルディング、メンバー育成を進めたいと思います。実際、職場を離れてこれだけのフィードフォワードを得られる場はなかなかありません。自分のスキルアップもそうですが、モチベーションの高い人たちに囲まれる経験はとても貴重と感じました。塾のコンセプトである「個を磨く」という部分でも他にはない経験を積める場だと感じました。自己啓発として学問を学ぶこととは違い、自分の考え方を磨く、そしてそれを表現することを磨くことができる場は他にありません。ぜひ来期、参加させていただこうと思います。


S.O  35歳 男性)

私のビジョンは、「日本のおもてなし文化を競争力にし、世界で勝負する。そして、日本を、日本人を変えること。」です。「スピード感」と「イノベーション力」がその源泉となります。その為に、1. 人脈の質の追求 2.貢献を競争する仕組み作り 3.他者に気づきを与える寛容さと、与えられる感受性ということを理念として掲げています。私は起業を志していますが、久野塾で一日過ごさせて頂き、上記150文字程度の文章に、自分の考えを整理することが出来ました。久野先生始め、超豪華な講師陣の指導力の素晴らしさに加え、参加している塾生やオブザーバの方々の意欲の高さ、そして、謙虚さにはとても刺激を受けました。右脳と左脳を最大限にリンクさせて、考えることのできた1日となりました。私は、二期生として応募することを決意しました。たくさんの方々と出会い、語らうことができる場に参加することが、今から楽しみでなりません。よろしくお願いします。

 
S.H. 37歳 男性)

1027日のグローバルリーダー養成講座、久野塾第5回にオブザーバーとして出席させて頂きました。当日は1人5分間の自己紹介からはじまり、現受講生、アドバイザー、塾長から普段の会社生活では受けられない厳しく、実践的なアドバイス(久野塾ではフィードフォーワードという言葉を用いていた)を受けました。一人一人が発言する機会が多く、個を鍛えるための時間を経験できます。私も自己紹介をしましたが、表情が硬い、もっと笑顔で話をすると親近感が得られるなど貴重なコメントを頂きました。久野塾は上昇志向を持ったリーダー達が更に自らを研ぎ澄ます場だと感じました。ほぼ7時間も集中するため、受講後はかなりの疲労感もありましたが、翌週からは塾で受けたインスピレーションが仕事へのモチベーションに繋がり自分自身に良い影響を与えてくれたのは明らかです。また来期の久野塾には参加したいと決心した次第です。


K.T. 35歳 男性)

1027日に久野塾 第5回に参加させて頂きました。先ず驚いたのは、オブザーバー全員が一人5分間の持ち時間で自己紹介をするということです。しかもその自己紹介の内容を参加者全員からフィードバックして頂けるという特典付きです。(笑)自分の話す内容を考えつつも、他の方へのアドバイスのポイントを探しながら聴き、普段以上に頭を使いました。自己紹介の後は今回のテーマである【ソリューションビジネスの真髄】について塾生の方の発表です。発表ごとにアドバイザーの方の鋭い指摘と塾長のからの解説があるのでテーマを色々な視点から考えることができます。テーマについての発表の後はスペシャルゲストによる講演で更に理解を深め、最後は塾長によるその日の総括で完全に腹落ちするという仕組みです。久野塾では塾長による一方的な講義ではなく全員で考え、議論することでテーマの本質により迫りやすくなると思いました。自らの課題であるビジネスパーソンとしての『個の力』を磨き上げる最高の環境であると感じ価値ある時間を過ごすことができました。



  2012年の最終回は12月8日(土)9:30~17:30@英治出版ラボで行います。2期生候補のオブザーバーも数名参加が決まっています。テーマは、「ファイナンスとコンプライアンスの視点」です。講師は、国際税理士でジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ株式会社代表取締役社長の鈴井博之さん(略歴下記)です。超一流のファイナンス・コンプライアンスのプロの講師が、塾生に「ビジネスで必要なファイナンスとコンプライアンスの考え方、リスクマネジメント等」を事例をまじえながらわかりやすく説明してくれますので、期待ください!
*鈴井博之講師の略歴
1988年から8年間、大手会計事務所であるKPMGにて税理士として国際税務業務に従事。その間、1991年から約3年間はKPMGスペイン・マドリッド事務所の日本企業担当責任者として勤務。その後1996年から8年間、サン・マイクロシステムズ(株)の経理財務本部にて統括部長を務める。2004年、米ゴールドマン・サックス・グループに転身し、日本初のホテル特化型上場不動産投資信託(J-REIT)であるジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人(JHR)の設立に尽力。2005年に本JHRの資産運用を請負うジャパン・ホテル・アンド・リゾート株式会社の取締役管理本部長に就任、2007年には同社代表取締役へ就任する。
さらに、2012年4月、JHRと日本ホテルファンド投資法人との合併を実現。現在は、シンガポールのRECAPグループの下、合併後のジャパン・ホテル・リート投資法人の資産運用会社であるジャパン・ホテル・リート・アドバイザース株式会社の代表取締役社長を務める。
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P.S. 今週から2期生の募集を開始しました。既に数名の申し込みをいただいています。塾は少人数にこだわっており、最大15名(1期生の継続希望者含む)です。入塾ご希望の方はお早めに12月8日(土)第6回のオブザーバー参加をお申込みください。 連絡先: mhisano@mcginc.jp

2013年開催予定日:
2月16日   46 68日 83日 105日 127日 の各土曜日